速いペースで生活するミレニアル世代の若者に適した瞑想法

速いペースで生活している現代の若者にとって、選択肢の多さがストレスになっているという。ミレニアル世代と呼ばれる、そんな彼らに向けて心を静める方法をInverse.comが紹介した。以下はその記事の抄訳。

◆ ◆ ◆

TMは、融通が利き、自然で、効果が高く、ミレニアル世代のペースの速いライフスタイルには適した瞑想法だ。

超越瞑想と呼ばれる、ある特定の形式の瞑想の人気がここ数年で復活している。その理由はおそらく、それが若者向けの市場や若者の頭脳空間におあつらえ向きの商品だからだろう。

2015年2月、アメリカ心理学会は、ミレニアル世代──18歳~35歳の年齢層の人々と定義されている──が他の世代よりも多くのストレスを経験しているという研究結果を公表した。ミレニアル世代のストレスレベルが上がっているのは、金銭面や仕事面などで数え切れないほどのストレス要因があるせいかもしれないが──それは他の世代でも同じことだ──選択肢の増大がミレニアル世代に特有の害を及ぼしている、と研究は結論づけている。私たちが育てられたとき、自分のやりたいことなら何をやってもいいと両親に励まされ、その考えを信奉するようになった。私たちの親の世代は、それとは逆に、懸命に勉強すれば安定した職業に就けるし、幸福になれるというアドバイスを受けていた。そういうわけで、ミレニアル世代はそれ以前の世代よりも多くのものから選択する権利が与えられている。私たちが必ずしもそれにふさわしくなくとも、私たちにはより多くの選択肢があると考えているのだ。

より多くを選択できるということは、一つの世代として私たちが体験する最大の特権ではあるが、それはストレスの大きな原因になることもわかってきた。選択ができない人たち──数多ある他の瞑想法を除外して、心を静める簡単で自然な方法である超越瞑想を試している人たち──のために、話をもっと簡単にしよう。超越という言葉は、「越える」という意味に過ぎないが、まさにそれがTMが教えてくれることなのだ。認定を受けたTMのスペシャリストであり、TMを長年教えているサラ・アンダーソンは、TMの目的は、「心が体験する想念をどんどん静かなレベルへと導き、やがて想念の源、すなわち、静寂あるいは枠のない状態を体験することです」と語る。それは大変な努力の末にようやく達成できる境地のように聞こえるが、しかし、TMの効果が現れるのは、瞑想者が努力をしないコツをつかんだときであるとアンダーソンは説明する。「それはサーフィンのようなものです。私たちがサーフィンをするとき、波と戦うのではなく、波に乗りますよね。」

超越瞑想中、私たちは想念の源に近づこうと試みて(いや、試みないで)、やがて活動的な思考のレベルを超越する。TMでは、1日2回、20分間ずつ行う瞑想中に何が起こるかはあまり重要ではなく、瞑想をしていないとき人々の生活にどのような効果が現れるかが重要とされる。「超越瞑想の実践には、心の組織力を高めるという深遠な効果があります」とアンダーソンは言う。「その結果、物事を習得するのが速くなり、物事を成し遂げるのも速くなり、素晴らしいアイデアを思いつくようになります」。TMによって心の働きがより明瞭に、より効率的になるだけでなく、生理面でも、血圧が下がるなどの有益な効果があることが研究により実証されている、とアンダーソンは語る。TMは心と体の切っても切れない関係を強化する。例えば、血圧を下げるために超越瞑想を習った人が、週末に詩の創作に費やす時間が長くなっているのに気づいたりする。

TMが他の種類の瞑想法と異なっているのは、主に2つの理由による。それは、実践方法の面における理由と、それがもたらす結果の面における理由だ。実践方法に関していえば、ほとんどの瞑想法は、何らかの形式で心の制御、集中、あるいは黙想を行う。それは啓示をもたらすかもしれないが、心はそのプロセスの最前線に立ち続ける。一方、超越瞑想は、心の表面のレベルを超越するので、脳は心の静寂な本質を体験することができる。結果に関していえば、伝統的な瞑想法には、脳の特定の中枢を活性化しようとするものが多い。例えば、「慈悲の瞑想」は、脳の中の思いやりの中枢を活性化するが、一方、超越瞑想を実践する人々は、「グローバル・コヒーレンス(広範囲の同調性)」の増大を体験する。その結果として、心の特定の部分が強化されるのではなく、総合的な心の「ホリスティック・アップグレード」が実現する。「それによって私たちは、生まれついての自分を超える自分になるのです」とアンダーソンは語る。「その過程で私たちのストレスは取り除かれていきます。ストレスは私たちが潜在力を十分に発揮するのを妨げるからです。」

では、なぜ超越瞑想はミレニアル世代にそれほど適しているのだろうか? その簡単な理由は、TMは(資格のある教師から個人指導を受けて習得すれば)どこでも、いつでもできるからだ。1日2回、20分もイスに座っている時間はないと言う人がいるかもしれないが、そうでもないことは超越瞑想を学んだ人々の実際例を見ればわかる。アンダーソンと彼女の夫は、職場と家庭できわめて多忙な生活を送る人たちにTMを指導してきたが、その人たちは私道に停めた車の中で20分間の瞑想をしている。時間を捻出する工夫は必要かもしれないが、ミレニアル世代は順応性があり、行動的な人々だ。アンダーソンと彼女の夫はマンハッタンのミッドタウンに住んでいたとき、ブロンクスの公営住宅でTMを指導していたが、ブロンクスまでの地下鉄の中で彼らは瞑想をしていた。十分に長いあいだ瞑想の実践を続けた後は、座れるところがあればほとんどどんな場所でも瞑想ができるのだ。「雑音があったとしても、瞑想の妨げにはなりません」と彼女は語る。

ミレニアル世代が、活発に行動すること以上に大好きなものはなんだろうか? それはメディアだ。超越瞑想の世界はますますメディア志向、エンターテイメント志向になってきている。積極的に発言するセレブたちの共同体──オブラ・ウィンフリー、デヴィッド・リンチ、ヒュー・ジャックマン、ハワード・スターンなどなど──が超越瞑想の恩恵をがっちりと支持している。著名人がTMを支持するのは、ブランドを高めるための行動ではないし、インスタグラムに避けがたく投稿されるFit TeaやKedsの宣伝のような金儲けの策略でもない。むしろ、これらの業界人たちは、TMがもたらす嘘偽りのない素晴らしい効果を体験し、世界の人々がより幸せになるのを手助けしたいという、心の底から生じる動機によって、彼らの体験を共有しようとしているのだ。セレブたちや彼らをめぐるさまざまな事柄への関心が特別に高いミレニアル世代を考慮してか、公開の場でTMについての話をするときにセレブたちは、ミレニアル世代に直接話しかける場面がしばしばあるようだ。

TMを指導するうえで最も難しさを感じるのは、TMが簡単であることをなかなか納得してもらえないときだと、アンダーソンは指摘する。私たちが朝から晩まで行うすべての営みには努力が必要だ。だから努力しないように自分を訓練するというのは、なんだか落ち着かないし、経験にもそぐわない、というわけだ。とくに、ミレニアル世代のように、ソーシャルメディアやテクノロジーから送り出される過剰な情報に囲まれて生活している世代層にとって、物事を平易に見ること──複雑さをはぎ取って物事をわかりやすくシンプルに見ること──は、いくつもの意味で直観に反することなのだ。超越瞑想は、放棄する能力を発達させる実践である。アンダーソンの表現を借りれば、「TMをするときに犯しうる唯一の誤りは、努力をすることです。」

Source:Transcendental Meditation Is Tailor Made for On-the-Go Millennials by Ethan Jacobs, Inverse.com