アメリカ先住民の衰退と復活〜学校で瞑想がブーム

アメリカ先住民の若者とアメリカ先住民族教育は非常事態にある。それが2014年12月に発表された白書の特別報告の結論であった。

以来、オバマ大統領は、屋根の雨漏り、校舎の老朽化、数学・科学・その他の学科の熟練した教師への給与の財源不足に悩まされてきた教育環境を修復するために30億ドルの予算を割り当ててきた。

言うまでもないことだが、部族高校の中退率が70%というのは憂慮すべき事態である。

インディアン・カントリー(アメリカ先住民の特別保護区)の各学校が新たな方策のための資金を大急ぎでかき集めている一方で、中西部の田舎にある部族学校の教師と生徒はこの急激な悪化にかなりの歯止めをかける対策をすでに実施している。

「瞑想をすると心が落ち着きます。瞑想は頭脳の働きを助けてくれるし、頭脳の成長を助けてくれます」──部族の生徒

昨年、その学校の22人の生徒が健康維持プログラムの一環として超越瞑想(TM)のテクニックの実習方法を学んだが、それに対する関心が爆発的に広がってさらに多くの生徒や学校が受講を申し込んでいる。

その動きが始まったのは2年前、その同じ部族高校で進路指導教員として勤務してたクリスティン・スポッテッド・エルクさんが、生徒支援のための現行の方策にもどかしさを感じていたときだった。

「わが校で学ぶアメリカ先住民の生徒たちが内面において自己と向かい合い、彼らの文化および伝統的な癒しの方法を見つめる手助けをしたい、という強い願いが起こったのです」と、クリスティンさんは語った。彼女は子供の頃に短い間だったがTMをやっていたことがあり、TMについてよく知っていたので、これが鍵になるかもしれないと感じていた。

TMの規則的な実践を再開してまもなく、彼女は退職してマハリシ経営大学(MUM)の修士課程に入学し、5カ月間のTM教師養成コース(TTC)を受講した。「生徒たちには、君たちを支援するための何か違った方法、もっと効果的な方法を手に入れてから戻ってくるよ、と告げておきました」と彼女は語る。

アパッチ族とテワ族の系譜に連なる女性であり、アメリカ先住民の若者や家族の世話をする仕事に20年間従事してきたクリスティンさんは、歴史にまつわるストレスの負担がどれほどその人々に影響を及ぼしてきたか、直に見聞きして知っていた。

「TMを再開した後、私はストレスの負担が文字どおり肩から下りていくのを体験しました。私の十代の息子のレインと夫のブルー・スポッテッド・エルクも、TMを始めた後に人生が好転したのを感じました。それで私は、苦悩にとらわれたりバランスが乱れたりする状況は超越瞑想のテクニックを実践すれば克服できると確信するようになったのです。」

MUMで学んでいる間も、クリスティンさんは勤務していた部族学校で同僚だった進路指導教師のカレンさん(仮名)と連絡を取り合っていた。クリスティンさんは、TMに関する研究結果をカレンさんにメールで送り始めた。それらの研究結果は、生徒にTMを指導した結果、出席率が98%、卒業率が15%、共通テストの得点が42ポイント増加したという劇的な変化を示していた。

カレンさんは、TM教師のシャーリー・ボンチェフとパトリシア・ダンにその保留地への出張を依頼し、彼女自身と彼女の家族、そして関心を示した数人の生徒にTMを指導してもらった。

「それからは燎原の火のごとくに広がりました」とクリスティンさんは言う。その生徒たちはTMをとても気に入ったので、友だちにそのことを話すようになり、さらに多くの生徒たちがTMを習ったのである。クリスティンさんは2015年2月にTTCを修了し、保留地に戻ってさらに12人の生徒にTMを指導した。

「生徒たちは文字どおり私のところに駆け寄って、『先生が学校に持ち帰ったこの瞑想っていうのを僕も始めてみたんだけど、とても気分が良くなるし、とても元気が出るんだよ』と口々に言ってくれました」と、クリスティンさんは語る。

人間関係の改善を示した生徒たちもいた。例えば、あるお母さんの報告によれば、親子喧嘩をした後、娘は2〜3週間も怒りが治まらないのが常だったが、今では娘は寝室に引っ込んで瞑想をし、その後は怒りがなくなっている、という。また別の生徒は、「瞑想をすると心が落ち着きます。瞑想は頭脳の働きを助けてくれるし、頭脳の成長を助けてくれます」と話した。

シャーリー・ボンチェフはこう語っている。「嬉しいのは、生徒たち自身からこのプログラムを学びたいという願いが生まれていることです。この生徒たちは、瞑想するときに、深く、深く、落ち着いていくのを感じています。今では彼らは週末や放課後も自分たちで瞑想をしています。習った最初の日でさえ、もっと知識を知りたい、もっとグループ瞑想をしたいという願いが生徒たちから聞かれましたが、それは他の学校のプロジェクトではあまり見られないことなのです。」

クリスティンさんは、瞑想する生徒たちが体験している活力や創造性が学校全体に広がっていることに気づいている。「カレンが創ったウェルネス・クラブ(メンバーのほとんどは瞑想している生徒)は活動の一環として、地域社会への奉仕活動に参加し始めました。それは以前であれば生徒たちが全然関心を示さなかったことです」と彼女は言う。「生徒たちは、より健康的な食事の方法や、より有益な習慣を維持する方法を学びました。また、生徒たちは夏期講習に出席するようになりましたが、以前はまったくなかったことです。瞑想している生徒たちがそのような変化を作りだしているのです。」

これまでは生徒たちがTMを習う費用は学校が負担してきたが、学校管理者は学校のもっと多くの生徒がTMを利用できるように補助金の申請手続きをしている。パトリシア・ダンは、「その評判はいつの間にか噂になって広まっています」と語る。「他の多くの部族学校からもプログラムの要請がきていますが、もっと多くの資金が必要なのです。」

アメリカ先住民の心臓病と糖尿病への対策を支援

子供たちの変化を目の当たりにすると、父兄、教師、学校管理者は自分たちも瞑想を始めたいと思うようになる、とクリスティン・スポッテッド・エルクさんは指摘する。

それは実際、2007年にネブラスカ州北東部のウィネベーゴ族保留地の部族学校で起こったことだった。TM教師のパトリシア・ダンとジョン・ボンチェフが部族の指導者たちから、デヴィッド・リンチ財団が資金提供する「静寂の時間」プログラムを学校に導入するよう依頼を受けたのが発端だった。そして5年間で300人の生徒がTMを習い、学校で毎日2回それを実践した。

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「私はTMに夢中ですよ」──ワーナー・アースさん、血糖値が正常範囲まで下がったウィネベーゴ族の高齢者

このプロジェクトに対して実施された調査によれば、この部族学校の瞑想している生徒は瞑想していない生徒よりも欠席率が28%少なく、また、共通テストの成績では、瞑想している生徒は平均よりずっと低い得点から平均以上の得点に上がったが、瞑想していない対照グループの生徒は得点に変化がなかった。

父兄は子供たちのこの好ましい変化を見て、自分たちもTMを習ってみたくなった。その結果、彼らは、まったく別の問題──部族人口に影響を及ぼす糖尿病や心臓病の発症率の高さに関連する問題──を解決するのにもTMが役立つことに気づいた。TMを規則的に実践するうちに、彼らの血糖値と血圧は下がり、その他の代謝指標も正常値に戻ったのである。

たとえば、ウィネベーゴ族のワーナー・アースさんは、時には血糖値が500 mg/dLを超えることがあったという。正常な血糖値は70〜120 mg/dLだ。TMを数カ月続けた後、彼の血糖値は正常範囲内まで下がった。「私はTMに夢中ですよ」とアースさんは語る。

ジョン・ポンチェフが挙げる次の例もその効果を示している。TMを実践していた部族の高齢者がある日、薬を受け取りに病院を訪れたとき、処方薬の量が半分に減っているのに気づいた。そのことを彼が尋ねると、あなたにはもうインスリンを処方する必要がなくなったと告げられた。

その出来事はウィネベーゴ・インディアン病院のアハメド・モハメッド医長の注意を引いた。彼の推定では、その病院で治療を受けているウィネベーゴ族の住民のうち最大で66%が2型糖尿病もしくは前糖尿病を患っている。

モハメッド医師によれば、彼の患者のほとんどは、食事を制限し、標準的な処方薬を服用し、定期的な健康診断を受けているにもかかわらず、糖尿病を抑制できなかった。「糖尿病への対処に失敗しているのは、ストレスが要因になっていると考えられます」と彼は言う。今ではモハメッド医師は彼の患者にTMテクニックを推奨している。

「超越瞑想は、糖尿病の抑制に短期的な影響だけでなく長期的な影響も与えると確信しています」とモハメッド医師は語る。彼は『JAMAインターナル・メディシン』に掲載された研究を引用しながら、TMを規則的に実践するとストレスレベルが低下するので、その結果として血圧と血糖値が下がり、糖尿病とメタボリック症候群に関連するその他の危険因子も減少すると説明した。

2006年にロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ医療センターで行われた画期的な研究では、TMを実践する人々は血圧、血糖値、インスリン濃度の顕著な低下を示した。

女性の心臓センターのC・ノエル・バイレイ・メルツ医長が行ったこの研究では、ストレスと、2型糖尿病の特徴である高血糖値(インスリン抵抗性増大による結果)との間にも強い相関関係があることがわかった。つまり、ストレスと緊張によりインスリン抵抗性が高まり、その結果、身体はインスリンを効果的に利用できなくなるということだ。

「この研究は、ストレスが糖尿病およびメタボリック症候群の基礎的要因であることを明らかにしました」とジョン・ボンチェフは語る。「そしてTMはストレス解消のために利用できる最も効果的なテクニックです。『臨床心理学ジャーナル』に掲載されたK・R・エップリーによる研究は自分でできる7種類のテクニックを比較したものですが、この画期的な研究の結果を見ると、プラシーボを超える効果を示したのはTMだけであり、しかもその差は顕著であったことがわかります。」

聖なるものとの繋がりがもたらすパワー

TMを実践した高齢者は、彼らが忘却していた伝統的な歌のいくつかを思い出すようになったことにも気づいた。

「TMは私たちが聖なるものと再び繋がるのを助けてくれました」とウィネベーゴ族の古老であるプロスパー・ウォーコンさんは語る。ウォーコンさんは、聖なるものとの繋がりは、糖尿病のみならず他の諸悪をも癒すカギになると感じている。彼は、薬物乱用や暴力、糖尿病は、伝統的な精神性との繋がりを喪失した結果として生じる兆候であると確信しているのである。

多くのアメリカ先住民保留地でTMを指導してきたジョン・ボンチェフもその考えに同意する。「アメリカ先住民は聖なるもの、すなわち『自然』への大いなる繋がりを今なお保ち続けています。彼らはTMを始めるとすぐに超越して、深くて落ち着いた意識、すなわち超越意識を体験します。瞑想するとき彼らは言います。「これは私たちの聖なる知識が戻ってきているのだ」と。

Source:“Science, TM, and the Sacred – How Native Americans Are Healing Diabetes and Saving Their Schools” By Linda Egenes, TM Magazine


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