回復への道──戦闘経験の悪夢から逃れる

戦争の傷跡は、体よりも心に深く刻み込まれる。それは訓練された兵士でも同じだ。アイゼンハワー軍医療センターでは、戦闘経験の悪夢から逃れることができない帰還兵に対し、治療のひとつとして超越瞑想を処方している。以下は米軍の公式サイトに掲載された記事の抄訳。

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戦闘経験のある退役軍人たちに、瞑想を勧めるなんてバカげたことだとトッド・クナウバーは思っていた。しかし、彼の見方はまったく変わってしまった。クナウバーは、こう述べている。

「TM(超越瞑想)は、戦争で受けた傷跡と戦っていく上で役立つ、最高の武器でした。このプログラムは、希望を取り戻すための土台となり、そして本当に傷が治り始めたのです。」

2001年に、クナウバーは「限りなき自由作戦」に参加する。そして、アフガニスタン西部にある米陸軍砲塔の射手として任務についた9カ月後、彼は負傷した。

「人間に備わる最高のものと最悪のものの両方を我々は目にし、自分たちに残された傷跡に耐えることを学んだのです。」

戦闘から離れている期間が長ければ長いほど、傷はよくなっていくと聞いていたが、現実はまったく違っていた。

「毎日、状況はより険しくなっていきました。いまここで生きているのに、心は常に戦場へと戻っていき、世界が分離しているように見えるのです。自分の居場所はそこだけであり、何もかもが意味がないように感じられました。そのうちに、その暗い場所から抜け出すことすら難しくなったのです。」

自宅で受ける支援プログラムなしには、彼は仕事をしたり、友人や愛する人々との人間関係を保つことができなくなっていった。

「私は、限界に達していました。状況は最悪でしたが、そのとき、人生で最高の贈り物を得たのです。」

アイゼンハワー軍医療センターで、クナウバーは治療の一環として超越瞑想を学ぶコースに参加する機会を得た。

超越瞑想については、これまでまったく耳にしたことがなかった。しかし、それは彼に薬物治療、悪夢、肉体的および感情的な痛みを乗り越える可能性を与えることになった。

「私は枝葉を手にしたのでなく、足下を支える太い根を得たのです。その安定した土台が、少しの間、私に安らぎを与えてくれます。それによって、傷の痛みにとらわれることなく、自分の足で再び立ち上がろうと思えるようになったのです。」

瞑想を始めてから、彼の人生に変化が起こった。1日2回、20分間の瞑想を行い、4カ月が過ぎたころ、彼はプラゾシンとトラゾドンという2種類の薬を完全にやめて、ゾロフトを半分に減らすことができた。

彼は超越瞑想によって心の安らぎを経験し、さらに、傷による体の痛みが緩和したという。

「私は、ケガの痛みをやわらげるために、いくつかの鎮痛剤をとっています。それまでは毎日、手のひらいっぱいの錠剤をとっていましたが、今では1週間に2〜3度、2〜3粒の錠剤をとるだけで、痛みを抑えることができるようになりました。」

瞑想を始めた後、「まったく別人のように見える」とほかの人から言われるようになった。

「私は元気になり、微笑み、以前よりも地に足がついてきたようです。超越瞑想を行えば、本当に肯定的な影響が生み出されるのです。」

医者からは、薬物治療を受けて一生懸命働いていれば、数年で回復するだろうと言われていた。しかし、超越瞑想を学んでわずか数カ月で、回復にかなり近づいた。

「時々、いやな考えや悪夢に襲われることもありますが、全体としては、よい方向に向かっていると感じます。」

「今では、自分の人生をもっとコントロールできるようになりました。自分自身を立て直して、健康を取り戻すことに希望がもてるようになりました。」