チリの彫刻家ユゴー・マリンの内と外の世界

ユゴー・マリンは、チリ人の彫刻家であり、超越瞑想の教師でもある。彼の好奇心と知識欲はやむことがない。大胆なほど枠のない彼の心は、作品の明確なスタイルに表れている。
 

第一のエネルギー源──外の世界

数カ月前、ユゴー・マリンは85才を過ぎた。しかし、彼の人生において年齢は単なる一つの事実、一つの数に過ぎない。彼の社会的な活動や芸術的な創造力は、今なおダイナミックである。

こうした活力はどこからやってくるのか? 恐らくその半分は、マリンの尽きることのない好奇心だろう。彼は、自分の裏庭や街、チリという国、全世界の出来事など、自分の周りで起こっているすべてのことに関心をもっている。

「私は、今という瞬間を生かす人間です。……私は常に考えて、動いて、創造しています。」と彼は語る。

アーティストとしてのユゴー・マリンの並外れた経歴は、彫刻が中心となるが、絵画、陶器、コラージュにも携わってきた。そうした経歴は、彼の人生の経験と密接に関係している。彼の人生と同様に、彼の芸術は決して均一なものではない。彼の作品に1つのパターンを見いだしたり、一定のラベルを貼り付けることは不可能だ。

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「人々がよく『スタイル』と呼ぶものを、私は好んでいます。私はスタイルを次から次へと変え続けているので、特に一つのスタイルはありませんが、私は自分の作品の外形を非常に速く変えていくことが得意なのです。」

「私は世界のさまざまな場所で暮らしてきました。これまで、アフリカの芸術、新大陸発見前の芸術、日本の芸術に接してきた経験が彫刻に反映されています。人々はよく私を定義しようとしますが、それができるとは思いません。」
 

第ニのエネルギー源:内の世界

もう一つのユゴー・マリンのエネルギー源は、40年以上の間、1日2回瞑想してきたことだ。

1966年に、彼はマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(TM運動の創始者)と出会った。そして、マリンはスイスとインドで意識に関する知識を学び、超越瞑想の教師となった。

彼は瞑想によって、意識の最も深いレベルとのつながりを得た。

「超越瞑想をすることで、私は、理知やさまざまな情報を越えたレベルにたどり着きます。そこは、観察者と観察の対象という二元性を超えた状態です。」と彼は説明する。

マリンは瞑想が彼の人生で果たした役割を率直に認めている。そして、その精神性を深める過程は、今なお続いているのだ。意識の源に深く入っていけばいくほど、日ごとに、その人の周りのすべてのものにより大きな影響が及ぶという。

「瞑想を行うとき、純粋な知識とのつながりができます。その空虚さのなかには、何もありませんが、同時にすべての可能性があるのです。そうした空虚さとのつながりを取り戻すのです。そうした純粋な静寂の状態が常にあり続けます。それは何もない状態であると同時に、すべてがある状態です。その両方です。絶対的な非具象であり、純粋な可能性です。」とアーティストは語った。

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