ストレスに押しつぶされる前に、ストレスにうまく対処しよう

精神的にも、肉体的にも、現代人は何らかの問題を抱え、多くのストレスを溜め込んでいる。もし、ストレスに対処しなければ、それはあなたをいずれ押しつぶすことになるかも知れない。問題や病気に直面しないためにもストレス対策は人生の最重要課題だ。

そこでウィリアム・スティクスラッド博士(臨床神経心理学者)にストレスについて聞いてみた。彼は、ストレスが原因ともなる注意欠損多動性障害の子供達の診察を長年行ってきた医師だ。

──すべての人を苦しめているストレスとは、そもそもなんなのでしょうか?

スティクスラッド博士:ストレスとは、体の恒常性の機能を妨げ、「戦うか逃げるかの反応」を引き起こすものです。ストレスになるような出来事に直面すると、心と体に特定の反応が起こります。アドレナリンが急上昇し、筋肉が強くなり、五感の能力が増し、「火事場の馬鹿力」と言われるような、驚くべき力が発揮されます。ちょうど、子供が危険にさらされると、母親は車さえも持ち上げることができるようにです。

しかしながら、こうしたストレス反応が継続的に起こっていると、肝臓付近のステロイド・コルチゾールが、体の中にあふれ続けることになります。それが現代生活における大きな問題となっています。ストレスがいたるところではびこっているので、多くの人が慢性的なストレス反応を起こしています。それはつまり、彼らは長期間にわたって「戦うか逃げるかの反応」の状態のままでいるということです。そうした慢性的なストレスは、心と体にとって望ましいものではありません。

──ストレスは脳にどのような影響をもたらしますか?

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スティクスラッド博士:一つ重要なことは、ストレスは、前頭前野における神経伝達物質のバランスを変えてしまうということです。前頭前野とは、ちょうど額の内側にあたる部分であり、はっきりと考えたり、意図した行動を達成することに関わっています。ですから、ストレスによって前頭前野が変化すると、何かに注意を集中したり、考えを整理したり、必要なときに必要なことを思いだす能力が低下し、日々の生活の必要性に柔軟に対処することができなくなります。「ストレスは、私たちの頭の働きを鈍くする」とダニエル・ゴールマン博士は言います。ストレスは脳の考える機能を停止させ、危険に対して本能的に、反射的に反応できるようにします。しかし、常にストレスにさらされていると、脳の働きが鈍くなり、効率の悪い脳で、日々の生活や仕事に取り組まなくてはなりません。

実際、慢性的なストレス、つまり長期間ストレスにさらされると、脳細胞が破壊され、考えたり、学習するうえで重要となる脳の部分が収縮してしまいます。例えば、長年にわたってPTSD(トラウマ)の症状や、鬱病を患っている人びとは、記憶を司る脳の中心部である海馬が小さくなることがわかっています。それは、アルツハイマー病や痴呆症の危険性を高めることになります。また常にストレスにさらされていると、扁桃という脅威を感知する脳の部分が常に働いているため、その部分が大きくなります。このように、常に不安を感じ、ストレスを受けていると、脳が変化して、よりいっそう不安を感じるようになるということです。

──ストレスは、心の健康にどのような影響を与えますか?

スティクスラッド博士:不安症や鬱病の主な原因は、遺伝的な要素よりも、その人の体験が大きな要素となっています。そして精神的な問題を生み出す主要な体験がストレスです。ネズミにストレスホルモンを注射すると、鬱病の症状が現れます。人間の場合も、MRIで不安症や鬱病の人々の脳を見てみると、扁桃が活動過多になっていることがわかりますが、それは極度にストレスを受けているということです。こうした問題はストレスと関係しているので、予防することができます。予防は非常に重要です。なぜなら、不安症や鬱病の始まりは、子供の頃から起こっているからです。研究者たちによると、鬱病は脳の発達を損ない、その結果、よりいっそう鬱病の発作を起こしやすくなると言われています。ですから、最優先で取り組むべきことは、ストレスと関係した問題を減らして、脳の損傷を減らすことです。

──ストレスから影響を受けないためには、どうしたらいいのですか?

スティクスラッド博士:健全なストレス反応とは、危険な状況に直面したときにだけ、ストレスホルモンが急上昇し、その後すぐに正常にもどることです。しかし、頻繁にストレスを受けている人の場合には、ストレスホルモンのレベルは常に高く、緊急時にはゆっくりと上がり、それが下がるまでに長い時間がかかります。

超越瞑想を実践することで、そうしたストレス反応を正常に戻すことができます。つまり、通常はストレスホルモンのレベルは低くて、危険に直面すると急上昇し、その後はすぐに下がるということです。私たちはそのような健全なストレス反応を望んでおり、慢性的なストレス反応は望んでいません。

ストレスを受けている子供は、脳機能の効率性が低下するため、適切に行動することが難しくなります。それに対して、超越瞑想を行っている子供達は、脳機能の効率性が高まり、知能指数、記憶力、創造性が増すことが研究によって示されています。

──どうしたらストレスを予防できるのですか?

スティクスラッド博士:睡眠不足は慢性的なストレスの一つであり、脳や体にストレスと同じ影響をもたらします。アメリカ人の大半は、十分な睡眠をとっておらず、電気が発明された100年前と比べて、20~25%睡眠時間が減少していると言われています。

十分な睡眠をとることで、ストレスを軽くしたり、予防することができます。十分な睡眠とは、目覚ましを使わずに自然に目覚めるまで眠るということです。また、散歩のような毎日の運動が、体と脳のストレスを軽減する助けになるという研究結果もあります。

超越瞑想の役割は、神経系に深い休息を与えることです。睡眠よりも深い休息を与えます。瞑想はこのような深い休息を与えると同時に、心をより機敏にします。体はくつろいでいながらも、心は機敏に目覚めているという状態が、ストレスに対する回復力を高めるのです。

TMテクニック(超越瞑想)は、脳を発達させる非常に有効な手段です。TMは、10代の若者たちでも簡単に行うことができますし、TMをすることで、自分自身の内側で安らぎと幸福を体験することができます。ですから、瞑想すればするほど、ストレスに過敏に反応することはなくなり、たとえストレスを受けたとしても、そうしたストレスはすぐに消えていきます。よく眠れるようになり、食事の量も適切になり、人生の問題をもっとうまく扱えるようになります。子供たちは、ストレスへの対処法を必要としているのです。ストレスを紛らわせるために、子供たちはドラッグやアルコールに手を出し、夜更かしをしてしまうのです。

TMテクニックという系統的にストレスを取り除く方法を子供たちに与えることで、彼らの脳はもっとよく働くようになり、ストレスと関連した健康の問題すべてを取り除くことができます。

◆スティクスラッド博士のインタビュー

原文・TM blog


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