伝説のコメディアン、アンディ・カウフマンの笑いの原点は、沈黙?

アンディ・カウフマンは、1984年に35歳の若さでこの世を去ったアメリカの伝説的なコメディアンだ。1975年に有名なプロモーター、ジョージ・シャピロは、酒場で芸をしていた無名のアンディを見出し、NBCの人気番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演させて、彼を一躍有名にした。

今年6月に行われたチャリティ・イベント「コメディの夜(主催:デヴィッド・リンチ財団)」で、ジョージ・シャピロは、次のように語っていた。

「私は28年間、超越瞑想(TM)を続けています。私はアンディ・カウフマンからTMを紹介されましたが、彼は私に素晴らしい体験を与えてくれました。」

アンディ・カウフマンは、高校時代、ドラッグや酒にどっぷりつかった日々を過ごした後、超越瞑想に出会い、生活が一変する。1日に2回の瞑想を欠かさず行うことで、人前で芸をする怖れを取り払ったといわれている。

このことは、アンディの伝記「マン・オン・ザ・ムーン」に次のように書かれている。

「アンディは仕事の契約条項のなかに、つねに瞑想のことを入れていた。ステージやセットに出ていく前に、緊張をほぐす瞑想の時間を必ずもらうようにしていたのだ。アンディ・カウフマンを雇いたかったら、これを認めないわけにはいかなかった。

『超越瞑想と出会って、やっと恐怖を消し去ることができたんだ。批判される恐怖を頭からなくせば、もう安心していられる。俺の場合、怖くなったら瞑想するんだ。いったん集中すれば、あとはなんだってできる。』」

また、アンディは、超越瞑想の創始者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーに「人を笑わせるには、どうすればよいか?」と尋ねたことがある。マハリシから、落ち着いた心の状態──静寂(silence 沈黙)の重要性について教わると、さっそくステージで実演してみせた。アンディは、舞台の上で何も話さず沈黙し、ただレコードを流して、曲のワンフレーズだけ踊るという不思議な芸を披露した。そして、これが彼の代表的な芸の一つとなった。

ジム・キャリーが演じるアンディ・カウフマンの代表芸「Mighty Mouse」

関連記事