研究結果:受刑者のトラウマ症状が瞑想によって改善される

最近の研究で、刑務所の受刑者のトラウマ(精神的外傷)症状を超越瞑想が軽減させることが明らかになった。

二カ所の刑務所で研究の被験者となった、症状が中程度から重度の181人の受刑者のうち、無作為に選ばれて超越瞑想を学んだ受刑者のグループは、瞑想をしていない対照グループと比較して、不安、抑うつ、解離、睡眠障害などの症状が有意に減少した。

受刑者は社会の中で精神的外傷を抱える割合が最も高い階層の一つであることを明らかにした最近の別の研究を考慮すると、『ザ・パーマネント・ジャーナル』に発表されたこの研究は特別な重要性をもっている。受刑者の85パーセントは、強盗、家宅侵入、身体的虐待、性的虐待などの犯罪に関与することでトラウマを抱えることになるからだ(この割合は一般の人々の四倍に相当する)。

トラウマ症状をもつ受刑者は、犯罪的な生活に戻ってしまう可能性や、間違った意思決定したり、種々の精神的・肉体的な健康問題を抱える可能性がより高いことがわかっている。収監中でも、トラウマは行動面の問題を誘発させるので、受刑者は社会復帰の機会を最大限に活用できなくなることがある。

このような悪循環を断ち切らなければ受刑者が収監を繰り返す恐れがあることを考慮して、研究者たちは、受刑者たちに蔓延するトラウマ症状を軽減するための改善策を見つけようと努力した。

この研究の筆頭著者であるサンフォード・ニディッチ博士は、介入の手段として超越瞑想を選んだ理由を次のように説明した。「これまでに公表された研究から、超越瞑想は、『闘争・逃走反応』のようなプロセスに関与する交感神経系(SNS)や視床下部-下垂体-副腎系(HPA)軸の過覚醒を減少させることが分かっています。」

「これらの種類の変化では、生理機能が過度に興奮した状態から、より健全で安定した状態になっていきますが、その過程は、TM(超越瞑想)の実践によってトラウマ症状が軽減していくメカニズムを説明するのに役立つかもしれません。脳撮像による研究やその他の心理生理学的研究から、TMの実践者は、ストレスの多い刺激に対する反応度がより小さいことや、生理機能がより安定してバランスのとれた状態であることがわかっています。」

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結果:オレゴン州立刑務所の男性受刑者181人を被験者とした無作為化比較試験において、超越瞑想プログラムを実践した被験者は、対照被験者と比較して、四カ月の期間で、総合的なトラウマ症状(約45%の減少)と、不安、抑うつ、解離、および睡眠障害の下位尺度、および、知覚されるストレスが減少したことが明らかになった。出典:MUM

 
実際、二つの標準評価法であるトラウマ症状チェックリストおよび知覚されたストレス尺度で評価した結果、四カ月の研究期間にわたって超越瞑想を実践した受刑者は総合的なトラウマ症状が47%減少した。

研究開始時に測定されたトラウマ症状が最も重度であった受刑者の場合、不安、抑うつ、解離、および睡眠障害が平均で56%減少するというさらに顕著な結果を示した。

もう一つの心強い研究結果は、TM(超越瞑想)グループの順守率の高さであった。TMグループの受刑者は88%が七段階のTMコースを最後まで受講し、80%以上が毎日TMを規則的に実習している。

「私は、人間らしさを失って長いあいだ隔離されていた受刑者たちが、超越瞑想を学び、人間らしさを取り戻していくのを見守ってきました。」と、ウェスタン・オレゴン大学の刑事司法の準教授であり、この研究の共同著者であるトム・オコーナー博士は語った。

「多くの問題を抱えて費用もかかっている我が国の矯正システムにおいて、是非とも必要なものは人を変容させるプロセスなのですが、TMは、そのプロセスを喚起し、深化させ、強固なものにするために役立っています。」

さらにニディッチ博士はこう付け加えた。「この研究は、トラウマ症状を癒すための改善策として利用された超越瞑想プログラムに関する、これまでで最大規模の無作為化比較試験です。この研究の結果は、退役軍人、現役軍人、国際的難民、その他の危険な状態にある人々を対象とした、これまでに公表された研究の結果と併せて、超越瞑想プログラムが心的外傷後ストレス障害の代替療法として有効であることを立証しています。」

この研究の被験者の一人は、超越瞑想を通じて得た体験を次のように話した。「私は刑務所に入って二十四年目を迎え、過去に取り憑かれていた凶暴性と真剣に取り組んできましたが、まだ心が分断しているのを感じていました。

最近になって、私はTMを学ぶ機会を与えられました。

何週間かが経つうちに、分断した感覚は、もっと深くて新しい感覚の中に流れ込むようになりました。そのときにとても自然で安らかな静寂を感じるので、私はようやく故郷に戻ったような気持ちになります。そこではすべてのことに意味があり、私はただ幸せに浸ります。人生の苦悩が消え去って、それらを乗り越えるほど成長したような感じがしています。」

 
Source:“NEW STUDY: Relieving trauma symptoms in prisoners with Transcendental Meditation” by TM HOME