現役軍人のPTSD(トラウマ)が瞑想で改善されるという研究結果

米国のジョージア州にあるアイゼンハワー陸軍医療センターは、現役軍人の治療に超越瞑想を利用した最初の医療機関だ。

センターでは、戦闘によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)、または不安症を発症した兵士たちを治療しているが、超越瞑想を実践した兵士とそうでない兵士との治療効果の比較が行われ、その結果がScienceDaily.comに掲載された。以下はその記事の全文。

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情報元:ジョージア・リージェンツ大学のジョージア医学部

心的外傷後ストレス障害に悩む現役軍人が超越瞑想を規則的に実践すると、向精神薬の用量を減らすか、または不要にすることさえでき、さらには、身体を衰弱させがちな症状をうまく抑えられるようになると、『ミリタリー・メディシン』誌で研究者が報告している。

この研究は、多くの場合は複数年にわたる複数回の配備に起因してPTSDまたは不安症を発症し、ジョージア州フォートゴードンのドワイト・デーヴィッド・アイゼンハワー陸軍医療センターの外傷性脳損傷(TBI)クリニックで治療を受けていた現役軍人74人を被験者として行われた。

被験者の半数は、他の治療に加えて自発的に超越瞑想を規則的に実践したが、残りの半数は瞑想をしなかった。1カ月目に、瞑想した被験者の83.7%は症状の治療のための向精神薬の用量が安定または減少したか、あるいは不要になったが、10.9%は用量が増加した。

一方、瞑想をしなかった被験者のうち、59.4%は向精神薬の用量が安定または減少したか、あるいは不要になったが、40.59%は用量が増加した。以後の各月も同様の割合で推移し、6カ月目までに、瞑想をしなかった被験者は、瞑想をした被験者と比較して、症状がおよそ20%増加した。

頭痛、記憶、睡眠、および気分の問題は、脳震とうの後に生じる4つの主要な症状だが、これらの症状をもつ患者は交戦の最中に何度も脳震とうを起こしていた、とアイゼンハワー医療センターの精神科医であり、この研究の上席著者であるジョン・L・リグ博士は語る。リグ氏は、その方面では全米最大規模のクリニックの一つである同センターのTBIクリニックでプログラム・ディレクターを務めている。このクリニックでは、外来患者に徹底した治療方法を提供しており、外傷性脳損傷が軽度の軍人はPTSDの治療に役立つスキルをここで指導される。

「脳震とうは治るのですが、軍人の場合、誰かが彼らを殺そうとしている状況の中で起こす脳震とうなので、それは独特のものなのです」とリグ氏は語った。「それは、私やあなたが週末に自転車に乗っていて、転倒して頭を打ったというような状況とは異なります。交戦状況では、大きな感情的トラウマを受け、基本的な生存本能は過覚醒の状態になっています。そのため、日常的に誰かが彼らを殺そうとしている環境に身を置くという異常な状況に対しても、軍人たち平常時のような反応をしているのです。」

「超越瞑想を規則的に実践すると、脳を沈静化させて癒しを与えるように習慣づけられます」と、オーガスタ大学ジョージア医学部のジョージア予防研究所で研究を行っている生理学者ヴァーノン・A・バーンズ博士は語る。この研究の筆頭著者であるバーンズ氏は、アイゼンハワー医療センターのTBIクリニックの患者に超越瞑想を指導し、それを1日2回、20分ずつ行うように推奨している。

超越瞑想の実践中、思考の活動的なレベルから内なる静寂の状態へと導かれ、その状態に至るとストレスホルモンの濃度が減少し、交感神経系の活性化のレベルが低下する。バーンズ氏によれば、ストレスホルモンの分泌と交感神経の活性化は、心拍数や血圧を上げることにより、いわゆる闘争・逃走反応(戦うか逃げるか反応)を引き起こすのだという。

軍人が退役して帰国した後も、そのような過覚醒状態が続くことがあり、そのためピリピリと緊張していたり、イライラや不安を感じたり、過剰反応を起こしがちになる等の兆候を呈するようになる。また、そういう人は、起こり得る危険を恐れて物事に集中することが困難なため、記憶障害が続くかもしれない。

「混んでいるレストランに食事に行くときでさえ、問題がついて回るかもしれません。」とリグ氏は語り、交戦地帯にいると頭の中には「見知らぬ者は危険だ」というマントラが24時間再生されて響き続けていると話した。このように心が過度に警戒した状態になっている軍人は、壁を背にして座って他の常連客たちの出入りを監視できる座席に着き、会話をしようとするパートナーの言葉には上の空になってしまう傾向があるかもしれない。

アイゼンハワー陸軍医療センターは、現役軍人の治療に超越瞑想を利用した最初の医療機関の一つだが、この瞑想法は退役軍人の間でもっと広く利用されてきている。2008年からアイゼンハワー医療センターで勤務するリグ氏は、抗うつ薬や抗不安薬のような薬物はPTSDに悩む現役軍人を救うには不十分であることにいち早く気づいていた。それで、非薬理的な選択肢を模索しているとき、彼の友人である元カンザスシティ・ロイヤルズの遊撃手バディ・ビアンカラナ氏から、デヴィッド・リンチ財団が退役軍人に超越瞑想を教えている「軍人の健康作戦」についての話を聞いた。その後、デヴィッド・リンチ財団の研究ディレクターであるサリナ・グロスワルド博士が、リグ氏をバーンズ氏に紹介する労を執ってくれた。バーンズ氏は超越瞑想に関する研究を長年続けており、超越瞑想には血圧が正常値より高い黒人青少年の血圧を下げる効果があることを実証した研究などがある。

アイゼンハワー医療センターのクリニックでは認知処理療法のような科学的根拠に基づく治療法を提供して、苦痛に満ちた思いを上手に処理できる方法を軍人たちに指導しているが、クリニックのスタッフは、それらの治療法に加えて、過覚醒の症状に悩む人々が正常な意識の状態を取り戻すのを助けるもっと良い方法を必要としていた、とソーシャルワーカーであり、TBIクリニックの行動健康療法士であるジェニファー・J・ウィリアムズ氏は語る。研究の共同著者であるウィリアムズ氏によれば、軍人たちは、超越瞑想を規則的に実践した後、イライラをあまり感じなくなり、よく眠れるようになり、人間関係も改善していると報告するようになったという。

2012年前半にクリニックで指導されるスキルのリストに超越瞑想が追加されたとき、軍人たちの間にはかなり懐疑的な雰囲気もあったが、現在ではクリニックでそのコースを希望する患者の順番待ちリストができている。そのコースでは、超越瞑想の指導に先立ち、最初にバーンズ氏がそのテクニックの起源と効果を紹介している。クリニックで利用されている、ヨガなどの他の心身相関テクニックは、まだ第一線の治療法とはみなされていない超越瞑想の採用の道筋をつけるための助けになった、とリグ氏は語る。

症状の安定が瞑想によるものか薬物治療によるものかの確信がないため、医療従事者はこの症状をもつ患者の薬の用量を減らすことに躊躇するかもしれないと、研究者たちは指摘する。1985年のベトナム退役軍人を対象とした研究など、これまで行われた研究では、薬物療法を受けるかわりに超越瞑想を実践した軍人たちはPTSDの症状の有意な減少を経験したことが明らかになっている。

PTSDおよび不安症に対する抗精神薬──うつ病にも用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬など──の治療反応率は30%ほどしかないと、研究者は報告している。脳損傷、薬物乱用、睡眠障害、気分障害がある場合、治療の成功はいっそう困難になるかもしれない。PTSDの薬物治療は、記憶障害の悪化やうつ病など、多くの副作用を伴う可能性がある。超越瞑想には有害な副作用がないことが知られている。

不朽の自由作戦およびイラクの自由作戦に配備された軍人の約13%がPTSDを発症している。これらの長期化する戦争のために多数の現役および退役軍人が感情面の後遺症に苦しんでいるなか、最適な治療法を見つけることがいまだに議論されている、と研究者たちは記している。

Source:Transcendental Meditation may reduce PTSD symptoms, medication use in active-duty personnel by ScienceDaily.com

  

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