UCバークレーの学生時代に学んだ瞑想が人生を変えた

UCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)に在学中、シャロン・ロシャコフさんは、構内で定期的に開催されていたTM説明会に参加し、超越瞑想を学んだ。その学生時代の体験から、彼女はTMを教える仕事に就いている。

学生にとってTMがどのように有益であり、人生を豊かにするのかをDailycal.orgのインタビューで答えている。

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筆者は今週、UCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)の卒業生、シャロン・ロシャコフさんにお会いして、ストレス解消法としての超越瞑想(TM)を教える彼女の仕事についてお話をうかがった。

心身をリラックスさせる瞑想プログラムであるTMは、科学的調査の対象になっており、世界33カ国の250の大学や研究機関で研究されている。その研究結果の一部は、『インターナル・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』等の科学雑誌に公表されている。この瞑想は、高血圧、コレステロール、ストレスを軽減するだけでなく、豊かな感情を養い、不安を減少させる効果もある。バークレーTMセンターでは、チェッキング、補習コース、週1回のグループ瞑想、上級者向けの講義とプログラム、季節ごとの祝祭などのサービスを提供している。

──どのような経緯でキャル(カリフォルニア大学バークレー校の愛称)でTMを教えるようになったのですか?

シャロン・ロシャコフ:私はキャルの学部で4年間学び、専攻科目の人類学と副専攻科目の社会学の学位を取って1971年に卒業しました。1968年に私の人生を変える出来事がありました。私には中学時代からの親しい友人たちがいたのですが、高校に入ってからはしばらく会っていませんでした。そしてキャルの新入生オリエンテーションのとき彼女たちにばったり出会ったのです。私はすぐ、彼女たちが以前よりずっとポジティブな感じを放っていることに気づきました。「あなたたち、何かやってるの?」と私が尋ねると、「TMを始めたのよ」と彼女たちは答えました。彼女たちは、100ルイス・ホールで開かれていたTM説明会に私を連れていってくれました。そこでは、たくさんの人たちが半円形になって床に座っていたので、私もそこに加わりました。あとで分かったのですが、それはグループ瞑想で、その人たちは目を閉じて瞑想していたのです。瞑想が終わると、皆が目を開けてお互いに顔を見合わせながら、素晴らしい効果を感じているような様子だったのを思い出します。その次に参加した説明会はポーレー・ボールルームで開かれ、私は次に空いている時間枠で超越瞑想を習う予約をしました。当時は、チャニングの古い女子学生社交クラブ会館にTMオフィスがあり、TMを習うためにそこに行くと、大学の並木道の向こう側まで列が続いていたのを憶えています。そして私はTMを習ったのですが、それは思いもよらなかった形で私の人生を変えることになりました。

──TMはどのようにあなたの人生に影響を与えましたか?

シャロン:現在ではTMに関する科学的検証が山ほどあってその効果が説明されていますが、私の場合は、多くの個人的な面でTMが(私にとって)とても役に立つことに気づきました。ひとつには、私が16歳の頃からとても病弱で、とても難しい状況にあったことがあります。キャルに入学してからは、健康になろうと固く決意したものの、何をすべきかはあまり考えていませんでした。私はときどきお酒を飲んだり、タバコを吸ったりしていたのですが、TMを習った後、それらの欲求、とくにタバコへの欲求がすっかりなくなったことに気づきました。もうタバコを吸いたいとは思わなくなり、たまにはちょっと吸おうかという気持ちさえ起こらなくなりました。

キャルに入ってからは、とても多くの自由があり、宿題をしなさいと命じる人もいなくなったので、私は瞑想の輪の中に入りました。だんだんと気づいてきたことですが、瞑想をすると大脳皮質全体が同調して機能するようになります。そして、適確で合理的な思考の中枢である前頭前野が活性化します。私がよくやっていた優柔不断な行動は次第になくなっていきました。何をすればいいかとあれこれ考える必要がなくなり、自分の仕事をこなしていくことを楽しめるようになってきました。自分の使える時間とやるべき仕事を順序立てて配分できるようになり、身についたその能力は現在でも役に立っています。

──UCバークレーの学生たちにはこの瞑想をどのように活用してほしいと思いますか?

シャロン:TMはストレス管理のテクニックというより、むしろストレス除去のテクニックです。それは表面的な疲労、つまり学生がよく感じている疲労に効きめがあります。TMは元気を回復させるので、瞑想を終えたときリラックスとエネルギーを感じます。私たちがセンターでTMを教える前に最初に瞑想をしておくと、一日中ずっと教えるためのエネルギー源が与えられます。家に帰ってからも瞑想をし、それから家事をします。学生の場合も同じことです。私たちは1日2回瞑想します。朝に1回瞑想して、1日の最後にもう1回瞑想します。普通は20分間瞑想するのですが、それはちょっとした休暇を1日2回取っているようなものです。

私が学校で教師の仕事をしていたとき、体調不良が波のように押し寄せてきたので、「気分が悪いんじゃないですか?」と皆によく尋ねられたものです。だから私は瞑想を始め、瞑想するたびに自分の免疫系を強化してきたのです。身体が強くなり、元気が回復すると、物事を系統立ててまとめるスキルや時間を管理するスキルが向上します。瞑想をしていると、創造性が高まる傾向があります。創造性に関係する脳の部分が活性化するからです。私は、OCD(強迫神経症)の症状のある人にTMを教えたことがありますが、彼は1日に200回くらいドアを確認すると言っていました。何回かのセッションの後、彼はドアを確認したくなる気持ちがなくなり、そんなことを気にするよりも人々と会話をするようになっていました。

まず最初に現れてくる効果は、生理全体が強化されるということです。そして、私たちが論文を書くときも、勉強をするときも、プロジェクトを実行するときも、ずっと効率的、生産的に行えるようになります。私たちの行動の生産性が高まれば、自分に自信がもてるようになります。そうなるためにどのような信念も必要ありません。それは積極思考の問題ではなく、まったく生理的な問題なのです。私たちが難題に直面したときも、ストレスでイライラするのではなく、それらをやりがいのある事と考えるようになるので、自然に心身は健康になっていきます。

──あなたの仕事を通じて、どのような体験を収集することができましたか?

シャロン:私たちは瞑想中の体験を得るために瞑想をするのではなく、活動の準備のために瞑想をします。しかし、瞑想中に何かを体験したり、無私の境地に至ったりするのは素晴らしいことではあります。エレン・デジェネレスさんは5年間くらい瞑想をやっていますが、彼女は、瞑想を終えようとするときにとても残念な感じがすると言っています。それは彼女が自分自身と対面できる唯一の時間だからです。つまり、彼女の「小我」と、彼女の「大我」すなわち普遍的な「自己」とが出会う時間なのです。ですが、私たちが瞑想するのは、実は、私たちが活動を始める準備をするためなのです。

2月に私は、友人の一人とインドに旅行する計画を立て、旅程には2週間の瞑想が含まれていました。その旅行中のある日、メールを開くと、私の兄が心停止症状に陥ったという知らせが届いていました。すぐに戻った方がいいという医師の忠告に従い、私は旅行のプランを変更して、できるだけ早く帰れる経路でインドを発ちました。当然それは楽しい経験であるはずがなく、もう二度と経験したくないことでしたが、私はそれを経験しました。私がどれほどストレスを受けたかは言えません。やらなければならないことをするしかありませんでした。ですが私は、その経験に打ちのめされることなく、自分を失わずに、自分のなすべきことができました。私はTMをしていることに感謝しました。TMの最も素晴らしい点は、そのような恐ろしいことが起こったとき、「瞑想してくるので待っていてください」と言わなくてもいいことです。TMの効果は累積的です。1日2回瞑想をしていると、神経系が改善されていきます。このような事態が起こったとき、身体がひとりでに動いてくれます。TMは本当に身につけておくべき実際的なテクニックなのです。」

──UCバークレーの学生がTMを始めるにはどうすればよいですか?

シャロン:説明会に来て、1時間ほどの説明を聴いてください。私たちは、TMの効果と、他の種類の瞑想法との違いについて概要をお話しします。TMは4日連続で学んでもらいますが、1日当たり約1時間半かかります。そのときに瞑想を実際に体験し、瞑想についての詳細な説明を聴きます。その後は月に1回くらいチェッキングを受けにくることをお勧めしています。若い瞑想者たちが集まってグループ瞑想もしています。私は48年間瞑想をしていますが、私がいま教えているこの瞑想に出会ったことをとても感謝しています。

──他の種類の瞑想ではなく、TMを選んだのはなぜですか?

シャロン:それがとても簡単であり、基本的に誰でもできるからです。考えることができれば、瞑想することができます。努力はまったく必要ありません。TMがそれほど簡単である理由は、心と体が欲していることをさせるからです。それは休息をとることです。そうしているとき、私たちは元気が回復するのを感じます。私が18歳の時は瞑想について何も知りませんでした。私が学生だった頃は、ドゥワイネル・ホールで瞑想の説明会が開かれていました。友人の中には他のテクニックをやっている人もいました。それは集中法または黙想法に分類されるテクニックでした。私がTMを選んだ理由は、瞑想のプロセスが自動的であり、瞑想を終えたときにとても気分が良くなるからです。

──TMを教えるのが難しかった人たちはいましたか?

シャロン:人はそれぞれ異なる神経系と異なる人生経験をもっています。私たちは、心的外傷後ストレス障害を患う退役軍人にTMを教えていますが、教えたその日から効果が現れる場合さえあります。双極性障害やADHDの症状をもつ人を教えたこともありますが、その場合も同様です。脳が本来の状態に戻り始めるので、より気楽に自己を表現したり情報を受け入れたりできるようになるみたいです。TMを学ぶのになにも難しい問題はありません。それは一生続けられるプログラムです。私は18歳のときに始めて、いま67歳になりましたが、今でも、やろうと思えばどんなことでもできると思っています。TMは世界中どこでも学べますし、すべてのサービスを受けられます。

──瞑想はUCバークレーの学生たちに何をもたらしてくれますか?

シャロン:私が学生だった頃より今の方がずっとストレスが多くなっています。私の父はキャルで学んでいたのですが、私も幼い子供だった頃から「キャルに行こう」と思っていて、その願いのとおりになりました。近頃では、一流校に入学するためには病気の治療法を見つけなければなりません。この世界は全般的にストレスレベルがずっと高くなっています。私は偶然でしたがTMを始めたことにとても感謝しています。TMは私が心理的な問題に対処するのを助けてくれました。TMを始めた頃は、自分が心の内側で感じていることが外側にも現れてくるなんて思っていなかったのですが、それをとても簡単にそして自然に体験することができました。私たちは、ストレスでへとへとになったり、イライラしたりするようにはできていません。それは私たちの本来の生き方ではありません。TMがもたらしてくれるものは、喜びに満ちた人生です。

Source:“Back and Forth: Sharyn Loshakoff of Transcendental Meditation” by MANA ANVAR, THE DAILY CALIFORNIAN

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