生徒のストレスが減り、瞑想が学校を落ち着かせる

手のつけようのない学校が、今では静けさを楽しむようになっている。現場の教師にとって、これは奇跡的なことだ。生徒たちに何があったのか? New Haven Independent が取材している(以下はその記事の抄訳)。

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高校3年生のブランドン・クローダーは、数学の成績がFからAへと上がった。以前よりたくさん勉強したわけでも、個別の学習指導を受けたわけでもない。ただ1日2回、薄暗い教室で静かに座っていただけで、だ。

丘の上にあるニュー・ホライズンズ高校で、彼とクラスメートたちは、朝8時45分から、ある実習を行っている。それは「静寂の時間」と呼ばれており、生徒たちは1日2回15分間ずつ、超越瞑想を行っているのだ。

この高校は、独自の教育法を取り入れた代替教育を行う学校であり、2013年の秋に、50~60人の生徒たちが、ストレスを減らし行動を改善するために、マントラを使う瞑想法を学んだ。それ以来、毎日の学校生活のなかで、クローダーとクラスメートたちは、朝と午後に薄暗い教室で静かに座り、ビートルズがインドで、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーから習ったのと同じ瞑想を行っている。

この学校の教師と生徒たちは、この地域を担当するデヴィッド・リンチ財団のTM教師リチャード&ゲイル・ダルビー夫妻から、この瞑想を習った。リンチはブルーベルベットやツイン・ピークスの監督であり、熱心な超越瞑想(TMともいう)の実践者で、学校でTMを教えることを支援している。

瞑想の効果は劇的だった、とモーリーン・ブランズフィールド校長は話している。学校の雰囲気が穏やかになり、静かになったという。瞑想の効果を調査した結果、瞑想している生徒たちは、喧嘩や口論が減り、成績が上がり、幸福感が増し、ストレスが減ったと報告している。

「静寂の時間」の後、瞑想している生徒たちには特別な朝食が提供されている(写真)。ベーコン、卵、ドーナツの朝食を平らげた後、クローダーは、瞑想を始めてからリラックスして勉強に集中できるようになり、授業をさぼることがなくなったと話した。その結果、数学の成績が上がったのだ。このプログラムは必修ではないが体育の1単位になり、瞑想したくない生徒は、自習室に行くか、個別の学習指導を受けている。

一人ひとりの生徒が、ダルビー教師からもらった自分だけのマントラを使って瞑想している。子供たちと一緒に朝食を食べていたダルビー夫妻は、TMのテクニックのことを言葉で説明するのは難しいと話す。子供たちがマントラに「集中する」というのは、正確な表現ではないという。超越瞑想のテクニックは「自動的」で「自然」なものであり、「何もしない」というより、「行うことが少ない」というものだ。

ブランズフィールド校長(写真左)は、「この学校の子供たちは多くのストレスにさらされているので、既存のセラピーでは効き目がなく、それでTMを取り入れることにした」と述べていた。

ニュー・ホライズンズの生徒たちは、他の高校の生徒よりもはるかに多くのストレスを抱えている。彼らは、特殊な教育が必要であったり、行動面に深刻な問題があるなど、さまざまな理由でこの学校にたどり着いた。執行猶予中だったり、ある種のトラウマを抱えている生徒もいる。

ブランズフィールド校長が、イェール・ストレスセンターの精神科医であるラジタ・シンハ博士と初めて話をしたとき、博士は瞑想の効果を示す脳のスキャンを見せてくれた。それがきっかけで、校長は、ニュー・ホライズンズの職員を近くのマインドフルネスや瞑想のワークショップに参加させることにしたのだ。

最終的に、この学校は超越瞑想を選んだ。なぜなら、「研究データに説得力があったからです」と校長は話す。超越瞑想は、最も幅広く実践され、研究が行われている瞑想法の一つである。

「その統計の結果は、驚くべきものでした。これは最先端のテクニックです」と校長はいう。瞑想を学んだ生徒たちはストレスが減り、幸福感が増すという調査結果を校長から見せてもらったが、朝食の席でも子供たちは、その根拠となる話をしてくれた。

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「本当に良く眠れるようになるんです」と3年生のクリスタル・フラー(写真)は話した。「家でも瞑想しています。ストレスが心から出て行くような感じです」。

「煙草を減らすことができました」と2年生のアーロン・ヴァレスは語った。彼は初め懐疑的だったが、「まあ、いいか。ただで単位をもらえるし。何でもいいや。意味はわからないけど」と思ったという。しかし2週間後に、彼はその効果に気づいた。ストレスを感じていても、静寂の時間に参加すると、15分後にはくつろぎを感じるというのだ。

3年生のナディーア・フェアは、「いやだ。私はしたくない」と思っていた。しかし、ヴァレスと同じように、2週間後にはその効き目に気づき、「身体がリラックスするのを実感した」という。

3年生のディナーラ・ローズは、「身体から緊張が抜け出ていくのを感じる」と述べた。

3年生のエレーヤ・ワードはいう。「私は瞑想が大好きです。瞑想を始める前は、私の心はいつもザワザワしていて、落ち着くことがありませんでした」。

英語の教師ジョン・ターカは、学校が「劇的に」変化したことに気づいた。学校全体が穏やかな雰囲気で満たされるようになったからだ。最も驚くべきことは、静寂の時間の間は、携帯電話の使用を禁ずる教師と生徒たちの衝突がないことだ。英語や数学の授業中に携帯電話を見ている生徒はいるが、瞑想するときには全員が携帯を置いてくる。「ソーシャルネットにつながるのを我慢することができるようになったのです」。

「信じられないほど、すごいです」と数学の教師ダイアナ・グレゴリーは話した。「子供たちの気質が変わりました」。学校生活に興味を持ち、楽しそうになったという。「攻撃性がなくなったのです」。

彼女は、クローダーを指して、彼は幾何学の授業で落第点をとっていたが、瞑想を始めてからは、「私のクラスでAを取っています」と話した。「変わったのは、TMをするようになった、ということだけですよ」。

「リラックスできるようになった」とクローダー(写真右)は語る。「授業中、静かに座っていることができるようになり、勉強に集中できるようになりました」。以前は、何もかもすべてが嫌で、ストレスいっぱいで、学校から逃げ出したかった、という。

「TMを学ばなかったら、学校をやめていたと思います」と彼はいう。「今は学校に来ています。周りにたくさんの人がいるのは、本当は嫌なんだけど、これは自分が生まれ変わるチャンスだと思っています」。

静寂の時間が始まってから、不適切な振る舞いをして「指導室」に送られてくる生徒の数が劇的に減ったと、問題のある生徒をサポートしているクリスティーナ・マーティンズは話した。

「ものすごく減ったのです。ちょっとショックを受けるほどでした」。その間、瞑想していない生徒たちは「困難と戦い続けていた」と彼女はいう。

ブランズフィールド校長は今、ニュー・ホライズンズ校に、ヨガを導入することを計画している。ヨガであれば、瞑想していない生徒たちも興味を持つかもしれないからだ。彼らも自分自身を落ち着けて、呼吸に注意を向け、ストレスを追い払うことができるかもしれない、と期待している。

Source:TM Chills Out A High School (NEW HAVEN INDEPENDENT)