バレエからブロードウェイのスターに転身

ソルトレークシティ出身の15歳の少女がスクール・オブ・アメリカン・バレエのオーディションを受けるというのはそうそうあることではない。そのバレリーナの卵が入学し、卒業し、18歳でニューヨーク・シティ・バレエ団に入団し、19歳になるまでにソリストになり、そして20歳までにプリンシパルに登りつめるという可能性はさらに少ない。

この才能豊かなダンサーがバレエからブロードウェイのスターに転身することは、さらにまた珍しいことだ。

それは実話のようには聞こえないが、これがミーガン・フェアチャイルドの人生なのだ。彼女は現在30歳で、ブロードウェイのミュージカル「オン・ザ・タウン」の最新のリバイバルに主演し、絶賛されている。

ニューヨーク・ポスト紙のエリザベス・ヴィンセンテリは記事にこう書いている。

「このショーでは伝統としてベルボトムを履いた若い男たちが闊歩するが、この新しいリバイバルで最も輝いているスターは彼らのうちの誰でもなく、それはミーガン・フェアチャイルドだ。ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシプルである彼女が、今やブロードウェイでデビューを果たしている。それほど彼女は優雅であり、観客を惹きつけ、息をのむほど美しいスタイルは天性のものだ。… だが、その小妖精のようなバレリーナは、頭の回転が速くて、労せずして観客を笑わせるコメディエンヌでもあった。彼女がステージに登場するたびにショーは抑えられない歓喜で沸きかえるのである。」

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筆者がミーガンを激賞しているその批評のことに触れると、彼女は控えめに、「ええ、すごいですよね」と言った。

──ニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)で成功したキャリアから1年間離れているのはなぜですか?

ミーガン:私が1年近く前に超越瞑想(TM)を習いはじめた後に小さなチャンスが訪れたのは、偶然ではなかったと思います。TMは始めてちょうど5カ月後に、私は「オン・ザ・タウン」の配役担当責任者から、オーディションを受けることに関心があるかどうかを尋ねるメールをもらいました。

そのとき私は、「私はブロードウェイの俳優じゃないわ。こんなのばかげてる」と思って、その日はそれを笑い飛ばしていたのですが、そのあと私の中で何かが起こりました。翌朝目覚めたとき、「どうしてダメなの?」と思ったのです。

それは私にとって実に重要な瞬間でした。普段の私なら、シャイになりすぎるか、ダメよ、それは自分には向いてないと思って、自分の小さな殻の中に閉じこもっていたでしょう。ですが、そのときの私の想いは、いま私は自分のキャリアの中で何か違う新しいことにトライしてもよい時期にあるし、これは居心地の良い環境から飛び出す練習になるかもしれない、というものでした。

──ブロードウェイで演じるのはバレエとどのように違いますか?

ミーガン:思っていた以上に楽しいですね。ブロードウェイではプレッシャーを感じないということではなく、「エンターテイメントなのだ!」という姿勢がやや強くなるのです。それに対してバレエを演じるときには、どの動きにも自分が創り上げようとする理想的な完璧な形があります。ブロードウェイで踊るときにはもっと自由があります。

──そちらのほうがストレスが少ないということですか? バレエはストレスの多い職業だという一般的な見方がありますけど。

ミーガン:一緒に働いてきた仲間たちが大好きなので、NYCBでの仕事を愛しています。……ですが、バレエから1年間離れている今では、私たちは皆、どれほどのプレッシャーにさらされていたのかがわかります。私たちはどれほど練習を積んでも完璧にはなりません。「おお、素晴らしい!」なんて言われません。いつも、「うーん、君はもっと脚を高く上げる必要があるね。あのピルエットのとき、もう1回転してほしいんだけどな。つま先をもっとぴんと伸ばさないとダメなんじゃないかな?」という感じです。そういうことがエンドレスに続くのです。

──あなたがTMを始めたそもそもの理由はストレスだったそうですね。

ミーガン:私はよくパニック発作を起こして気を失い、緊急治療室に運びこまれていました。その症状はとても激しかったので、意識を取り戻したときに誰かが叫んでいるのが聞こえて、実はそれは私の叫び声だった、ということもありました。

18歳の頃からそういう発作が2年に1回起こりました。人生はストレスに満ちたものになり、注射してもらいに病院に行ったときとか、ちょっとしたことがきっかけで全身が麻痺してしまうのです。それ以後は発作がもっと頻繁になり、半年ごとに起こるようになりました。公演を断念したことも何度かありました。それで私はこう思ったのです。「ああ、こんなことじゃダメだわ。この発作が私の仕事に影響している。もう少しリラックスするやり方で私の人生を管理する方法を見つけ出す必要がある」と。

NYCBで私を指導するバレエ教師の中にTMをやっている人がいて、彼女はそれを試してみてはどうかと提案しました。彼女は実に見事なプロフェッショナルで、どんなときでも仕事をやり遂げる準備ができていました。彼女がTMをやっているのなら、そして彼女がそれを信頼しているのなら、私も試してみよう、と思ったのです。

──それで発作は治まったのですか?

ミーガン:はい。最後に発作が起こったのは私がTMを始める前でした。過去には、TMをしていると目まいがしたり、発作が出そうになった瞬間がありましたが、今ではそういう瞬間は大事に至らずに通り過ぎていきます。私は苛酷なまでに身体に無理を強いていたので、要するに、ヒューズが飛んでしまっていたのです。TMをすることで、私は、ストレスのダイヤルを絶えず高い方に廻し続けてストレスを蓄めていくのをやめて、そのダイヤルを毎日少しずつ低い方へ戻すようになりました。

──TMを毎日実習して超越することは、芸術性とテクニックのバランスをとることに役立っていますか?

ミーガン:それは自分の神経を少し図太くするのに役立つと思います。以前の私は、より完璧を目指すことにこだわり、技巧的なステップのことで頭がいっぱいでした。今は、もっと広い視野で考えるようになり、そういう技巧的なステップを出そうと思い悩むのではなく、一つひとつのステップを踏んでいる瞬間に没頭するようになっています。自分自身の演技をより多く楽しんでいますし、すべてのステップとすべての瞬間に全力を尽くしています。

素晴らしい演技ができるのは、作為のない、新鮮な、内から湧き出すような感じで、音楽に合わせて自由に踊っているときです。そういう瞬間には、オーケストラが演奏する音楽に反応して踊っているのです。

生活全般について言えば、自分に対して我慢強くなっています。

──どんなふうにですか?

ミーガン:たとえば、ひどいターンをしたときとか、その日は調子が悪いと感じるときとか、レオタードとかを一日中着ていたくないような気分のときです。TMをしていると、バレエダンサーであることに伴う、そういう小さなストレスを自分から転がり落とすのが少し楽にできるようになります。

私は以前、物事がマジックテープのように自分に貼り付いていると感じていたものですが、今は、物事はだた転がり落ちていきます。私を普通にイライラさせる瞬間が生じるのを感じることはまだありますが、以前ほどには苛立ったりしません。仕事に伴うストレスにより上手に対処できるようになっています。

原文・Linda Egenes

◆「ON THE TWON」の稽古の様子(英語)

   

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