私の建築と瞑想は切っても切れない関係──建築家ビング・トム

ビング・トム氏は数々の受賞歴に輝く建築家であり、カナダで名誉とされる50周年メダル(国家に対して大きな貢献をしたカナダ人に授与される栄誉)を授与されている。2010年にビング・トム・アーキテクツは、王立カナダ建築家協会から同業者の垂涎の的である年間建築事務所賞を受賞した。2011年にビング氏はカナダの建築家にとって最高の栄誉であるRAICゴールドメダルを授与された。
 

建築と瞑想──主観的世界と客観的世界の統合

──超越瞑想の実践はどのような形であなたの建築の仕事を支えていますか?

ビング:建築は、ある特定の場所の立地条件を取り扱うのですが、建物は大抵その場所に長年存在し続ける、という点に面白さがあります。そのため、現状を把握しながらも、長期にわたり普遍的に適用できる真理を見いだす能力が必要とされます。

それが私にとってTMが重要である理由です。私たちが瞑想を行うのはある特定の瞬間ですが、瞑想は何千年も続いてきた伝統です。そして私たちは瞑想をする度に、前の時とは少し違っているのを感じますよね?

建築は、内から生じる発想を探すために内側に入らなければならない主観的なアートです。ですが、建築は物理的な世界を取り扱い、建物は長期にわたり構造的負荷に耐えなければならないので、それは科学でもあります。このような主観的世界と客観的世界の組み合わせは瞑想にとてもよく似ています。瞑想の場合は「自己」の内側に入っていき、そしてそこから出てきてから行動を起こします。私の建築と瞑想は切っても切れない関係にあります。私にとって、その関係性がまさに「存在すること」、ですね。私の生き方そのものなのです。

──あなたの設計した建物の写真を見たとき、開放と動きの興味深い組み合わせを感じました。

ビング:ああ、そうです。開放とは、息を吸い、息を吐くということです。私の建築は、瞑想からとても大きな影響を受けています。だからあれこれと考えずに、ただ実行します。それが第二の天性になっています。

確かに、建物にはワクワクさせる何かがあります。動きは建物に活力を与えますが、それは決して威圧的ではありません。人々はいつも、「あなたの設計した建物はとても落ち着いていて快適ですね」と言ってくれます。私は、「ええ、それは瞑想の影響なのです」と答えています。

──あなたの建物はとても生き生きして見えますし、それぞれが独特な性格を持っていますね。

ビング:私は建設用地の特異性に基づいて発想を引き出しますが、それと同時に、普遍性を探しだそうとします。私はその用地の立地、気候、文化、周辺の街並みと取り組まなければなりません。あらゆる要素を考慮に入れます。

──現在は、香港で新しい建物を設計していますね。

ビング:はい、それは劇場です。国際的なコンペがあって、70社が参加し、5社に絞られた後、それぞれの会社が設計を提出し、私たちの設計が選ばれたのです。この仕事を任されることは大きな名誉になります。なぜなら、それはおそらく現代で初めて設計される中国演劇の劇場であり、そのような劇場が建てられるのは200年か300年ぶりのことだからです。

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香港に建設される「戯曲中心」写真:bing thom architects

──立地、気候、文化を考慮した結果、中国はどのようにあなたの設計を特徴づけましたか?

ビング:中国演劇は2000〜3000年の歴史をもつ芸術形式です。それには舞踊、演技、歌唱、雑伎が含まれ、一人の俳優がそれらをすべて演じます。実にパフォーマー中心の演劇なのです。ですから、きわめて全体的な俳優でなければ観客の心をつかむことができません。そういう意味で、それは瞑想にとてもよく似ています。瞑想しているときには全体的になりますから。あなた自身がショーになるのです(笑)。

この建物は2000〜3000年の伝統を想起させるものでなければなりませんが、未来に向かっている感覚も必要です。この建物が位置するのは、現時点で世界最大の文化的開発地区の入口にあたる場所です。それは予定されている17の建築物のうち最初に建てられるものであり、この文化的中心地を訪れるすべての人々が通る玄関口になります。ですから、それにふさわしい基調をなす建物、それにふさわしいメッセージを発信する建物でなければなりません。

──あなたが建築家になろうと決めたきっかけは何でしたか?

ビング:7歳か8歳くらいの頃には、建築家になることに魅力を感じていました。私の叔父はエンジニアでしたが、彼の事務所に連れていってもらったとき、私はそこで、白い線が描かれた、こういう素敵な青いシートを見ました。それは青写真(設計図)でした。私はとても魅了されて、「僕、そういうことがやりたいな」と言うと、叔父は、「そうか、それじゃあ、建築家になりたいんだね」と言ったのです。

──あなたが超越瞑想を学んだのはいつですか?

ビング:私が大学を卒業したとき、とてもストレスに満ちた、多くの責任を伴う仕事に就きました。20代の若い頃は誰でも自分をスーパーマンのように思っているものですが、当時の私はそのままだと神経衰弱に行き着くであろう道を突き進んでいました。

そんな頃、ビートルズがTMを学んだという記事が新聞に載り、それが私の注意を引きつけました。その後しばらくしてマハリシがトロントを訪れて講演を行うことになったので、私は妻と一緒にそれを聴きに行きました。60年代半ばの頃で、部屋は実存主義者たちで満員でした。講演の後、彼らは実に攻撃的な質問をマハリシに浴びせました。マハリシはすべての質問を受け、穏やかにそれに答えていました。

私は、その部屋一杯に集まったとても攻撃的な人々に応対しているマハリシの様子を眺めていて、とても感心したので、「ああ、あの人のようにできるのであれば、瞑想を習ってみたい!」と思ったのです。そして数日後に個人指導を申込み、トロントの教師から指導を受けました。

瞑想をしていなかったら、私は今の仕事をやりこなせないでしょう。瞑想は本当に私の人生を支えてくれています。40年か50年の間に私が瞑想をしなかったのはせいぜい5回か6回くらいだと思います。

──それは読者の方々が瞑想を規則的に続けていくための励みになりますね。

ビング:そのとおりです。瞑想を規則的にしていれば良いことずくめです。それは花に水をやるようなものであり、花には毎日水をやらねばなりません。私たちはその花のようなものなので、栄養を与えてもらう必要があるのです。

──あなたの瞑想の実践はあなたの生活やあなたの創造性と渾然一体になっていて区分されていないという点に、私はとても魅力を感じます。

ビング:そうですね。そのことは現代社会の問題に関わっています。人々はそれらをまったく切り離されたものと考えますが、そのためにとてもたくさんの不幸があるのです。私たちは常に、統合された人生の意義や、より全体的な実存の価値を探し求めています。

もっと多くの人々が瞑想をすればいいのに、と私は思います。すべての人が瞑想を学んでいれば、もっと問題の少ない世界になっていたはずです。なぜなら、瞑想をしていれば人々は、「人生とは何であるか」といった、より大きな価値により多くの意識を向けていたでしょうから。

すべての人は、とてもシンプルでありながら人生や実存に対して意義あるものを探し求めているのだと思います。TMはそれを与えてくれます。すぐに効果が得られるからです。瞑想をしていると、人生にとって不可欠なものとの繋がりができます。それは実はとても簡単に達成できるのですが、それを体験していない人に説明するのは難しいことです。

瞑想は今ではすっかり私の生活の一部になっているので、私の事務所では福利厚生の一環としてTMを学ぼうとする従業員にはそのための手当を支給しています。事務所が半額を支払い、従業員が残りの半額を支払います。その結果とても多くの従業員がTMを学びました。現在、私の事務所の従業員の約25%が瞑想をしていると思います。もっと多くの従業員が学んでくれることを願っています。

──あなたのアートに話を戻しますが、私はあなたの設計した建物の中に入ると不思議の念に打たれるのです。

ビング:確かに、空間を生み出した創造力と、その空間を体験した人との間には対話が生まれます。建物の中を歩いているとき、あなたはその空間を創造した人々と対話をしているのです。創造には意図があります。そして、建物の中に入るとそこから影響を受けます。そのとき意図と影響が一体になります。それが設計者と利用者との間に生まれる対話です。

それがアートのもつパワーです。アートは瞬時に伝わります。あなたの心に直にぶつかります。それは言葉で表現できません。まさに、ドン!ときます。それがあなたの中になんらかの不思議な印象を残すのです。

ですからアートに関して言葉は不要です。ただそれを眺めます。「わあ!」と声が出ます。それから、あなたはそこに戻りたくなって、そこに戻ります。そして、またそこに戻ります。その度により多くの発見があります。あなたはいつでも優れたアートを体験できますし、決してそれに飽きることがありません。瞑想もそういうものですよね?

──ええ、まったくです!

ビング:ひとたび夢中になると、それを手放せなくなります。

──そのとおり(笑)

原文・Rolf Erickson

■ビング氏が設計した「戯曲中心」を紹介したビデオ

   

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