緊張が解消されれば、残忍な人間でも同情心をもつようになる

健全な感情を育むことは、すべての人にとって重要なことだ。特に、反社会的な行動のために投獄されている人びとにとっては、それが絶対的に必要とされている。

医師として、オレゴン州の矯正教育施設で14年間働いているマイケル・プエリニ医師は、自分を制御する能力や、情緒面の安定性が欠けているために、道を踏み外してしまった数千人の人びとの健康管理を行ってきた。彼は、受刑者達の不安定な感情が、彼らの行動や体の健康に否定的な影響を及ぼしているのを長年にわたって目にしてきた。

自己を制御する能力や、健全な感情は、精神的に安定した健康的な生活を送るためのカギとなるものだ。それらを彼ら自身の内側に成長させるためにはどうしたらよいのか? 受刑者の内側に思いやりの気持ちを成長させるためにはどうしたらよいのか? プエリニ医師は、1年間、TM(超越瞑想)を行ってきた受刑者の振る舞いを見て、こうした質問に対する答えを見つけた。

Dr.Puerini

「人に情けを教えることはできないが、超越瞑想には、人を情け深い人間にする何かがある。情け深い人とは、より健康な人のことだ。」

サイコロジー・トゥディの記事によると、情け深さとは「他の人の感情を理解する能力」であり、「他の人の苦しみを楽にしてあげたいと望むことだ」と説明している。プエリニ医師は、自分自身の超越瞑想の体験として、心の落ち着きが増し、集中力が高まり、自分自身や他の人びとをもっと大切にするようになったという。

また、超越瞑想は実際的なテクニックであると、プエリニ医師は語っている。なぜなら、超越瞑想を行うと、自分に対する評価が高まり、自分の健康を自分で管理できるようになり、他の人への思いやりが増すからである。そうした能力は、受刑者たちが刑務所から出たあと、もっと有意義な生活を送るための助けになるものだ。

1967年、超越瞑想の創始者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、彼の最初の著書『超越瞑想──存在の科学と生きる技術』の中で、「超越瞑想を行うことで、すべての緊張は解消され、堅く残酷な性質の人も、寛容と同情心に満ちた性質に変えることができる」と記している。

原文・KEITH DEBOER