心臓病の予防と治療に関する超越瞑想の新しい研究

米国では心臓血管疾患が原因による死亡者は、他のどんな病気よりも多い。現代医学は、この静かな殺し屋に対する研究を続けているが、治療に役立てたり、病状の進行を食い止めたり、望ましくは初期段階で予防したりする目的で、補完医療や代替医療の治療方法を取り入れるようになってきている。そうした治療方法の一つに瞑想がある。

心臓血管疾患の治療と予防を目的とした(民間や政府支援の)健康維持プログラムに、代替的な治療方法を取り入れるためには、その効果を裏付ける確実な証拠が必要になる。ストレスを効果的に解消する超越瞑想がそのような証拠を提供している。最近、超越瞑想が、若者や成人の心臓病の治療と予防に効果的であるという研究論文が発表された。

「超越瞑想プログラムによる青少年と成人の心臓血管疾患の予防および治療:研究レビュー最新版」と題されるその論文は、Current Hypertension Reviews, 2012, Vol. 8, No. 3 に発表されている。

研究では、次のことが明らかにされた。

  • 十代の青少年においては、TM(超越瞑想)によって高血圧が軽減し、心臓構造が改善し、学校での行動が改善したことがわかった。この論文によれば、TMは安全な代替治療方法であることが証明されている。このレビューで言及されている、国立衛生研究所からの助成金で実施されたTMの臨床試験では、TMの実践による有害な副作用はまったく認められなかった。
  • 成人の患者においては、TMによって、ストレスホルモンの分泌量やその他の生理学的なストレス評価値が低下し、高血圧が軽減し、血圧降下剤の使用量が減少し、狭心症患者の心臓の痛みが緩和され、動脈の詰まりが取り除かれ、脳卒中のリスクが低下し、鬱血性心不全患者の歩行距離が伸び、飲酒と喫煙の量が減り、不安や抑鬱が軽減し、医療機関の利用率や医療費の負担額が減少した。また、TMは心臓病、癌、その他の要因による死亡のリスクを減少させた。

「これらの研究結果には、心臓血管疾患の予防と治療のための医学的取り組みに超越瞑想プログラムを取り入れる上で重要な意味が含まれている」と、この論文の主執筆者であり、ジョージア健康科学大学(ジョージア州オーガスタ)の研究専門科学者であるヴァーノン・バーンズ博士は語る。

「このレビューは、潜在的には個別の研究論文よりも大きな重要性を持っている。なぜなら、TMは心臓血管疾患のあらゆるレベルに総合的・全体的な影響を与えるということを示しているからだ」と、共同執筆者のデヴィッド・オームジョンソン博士は語る。

オームジョンソン博士によれば、とりわけ心臓血管疾患に関する信頼できる測定値に基づいて言えば、これほど多様な変化を生み出すことがわかっている瞑想法は他にない。

バーンズ博士は、心臓病になる前に、予防を重視することが青少年にとって大切だと話す。「年齢が若いうちに超越瞑想を始めれば、将来心臓病になるのを予防することができるので、多くの人々の生命が救われることだろう。国が負担する医療費の数十億ドルの節減になるのは言うまでもない。」

TMがもたらす効果の独自性は、その実践の仕組みそれ自体に関係があるかもしれない、とバーンズ博士は言う。「各種の瞑想法は、それぞれ実践の方法が異なっているので、生み出される結果も異なっている。このことは、代替的・補完的な治療方法としての瞑想の応用を評価する上で、最も重要な考慮事項だ。」

『意識と認知』に掲載されたある論文では、瞑想を体系づけて理解を深めるために三つのカテゴリが論じられている。「瞑想法は、すべて同じなのか?」という論文を参照されたい。

瞑想には一般的に、二つのカテゴリがある。一つは、注意の集中、つまり、一つの対象あるいは感情(思いやり等)に心を集中することであり、もう一つは、ありのままを見つめる観察、つまり、自分の呼吸や想念に心を留めて、その意味を黙想するか、または、ただそれを観察することである。

超越瞑想はそれらとは異なるアプローチをとり、自動的な自己超越という第三のカテゴリに入る。つまり、瞑想者が自分自身の活動を超越するという瞑想法である。

TMでは、集中や黙想という形式をとるのではなく、心が努力せずに想念のプロセスをより微かなレベルで経験できるようにする。それによって、まったく活動のない静寂で、落ち着いた心の状態に達する。そのとき心は内側で目覚めており、体は深い休息を得ている。それは、熟睡している時よりもずっと深いレベルの休息である。

このような安らぎと鋭敏さ(目覚め)が共存する状態になったとき、体はバランスを取り戻すために必要な自己修復を行って、正常な機能を回復させることができる。この累積的なプロセスを通して生理がリセットされ、その結果、心臓血管疾患の症状の緩和や健康の改善として表れるのである。

原文・NEWS MEDICAL