騒々しい教室が静かになる時間。校内暴力は瞑想で止められるか?

シカゴのゲージパーク高校では、校内暴力をなくすためにユニークな試みを行っている。それはシカゴ大学犯罪研究所によって選ばれた「静かな時間」というプログララムであり、生徒は教室でわずかな時間、瞑想するのだ。以下は、シカゴ・トリビューン紙に掲載された記事の日本語訳。

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教室にティーンエージャーがごった返している。バックパックを肩にかけ、スエットの上に耳当てを振ら下げて、友だちとふざけている。きれいに並べられた机の間を、生徒らが飛び回っている。

緑色のシャツを着たインストラクターが、小さな銀の鈴を鳴らすと、教室は静かになって、つぶやき声も消えていく。

磨かれた木の床がきしむ音がして、扇風機が回っている。教室内は静まり返った。

次の20分間、授業はなく、話し声や笑い声もなく、いつもの朝の高校の教室のような騒々しさはなかった。

少年少女らは、目を閉じ、体をリラックスさせている。幾人かは頭を手のにのせて休んでいる。ほとんど全員が目をつむっていた。

このゲージパーク高校の生徒たちは、静寂の時間に参加している。これは超越瞑想のプログラムで、サウスウェスト・サイドの学校のレンガの塀の内と外にあるストレスとプレッシャーから生徒を守る目的で行われている。

学期中は、1日2回、毎日行われている。

このプログラムは、映画監督が設立したNPO、ディビッド・リンチ財団によって行われており、シカゴ大学犯罪研究所が、その有効性を研究している。研究者らは、98.3パーセントの生徒が、低収入の家庭から来ている学校で、その瞑想プログラムが大きな有益性をもたらすかどうかを検証している。

「彼らの隣人は、文字通り生き残るために戦っています。」英語教師であるジョゼ・モラレスは言う。「彼らには暴力に変わるものが必要なのです。」

静寂の時間は3つのプログラムのうちの1つであり、200人以上が参加している。若者の暴力を減らすための提案を求められた犯罪研究所が選んだものである。

犯罪研究所は、30万ドルの補助金を得て、シカゴの公立高校でこのプログラムを始めた。その目的は、若者のストレスを改善することだ。静寂の時間はまた、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨークでも採用されている。

犯罪研究所は、このプログラムが他の都市と同じように成功することを信じている。エグゼクティブディレクター、ロシアナ・アンダーが言う。このプログラムは、費用対効果も良い。厳しい審査の後に選ばれたものである。

「瞑想は自分の心を鎮めるのに役立ちます。」ゲージパーク高校上級生で、17歳のジェームズは言う。「瞑想は、心を鎮めて集中できるようにしてくれるのです。」

静寂の時間に参加する前、ジェームズは怒りっぽく、しばしば激しい議論や喧嘩をしていたと言う。今は穏やかになり、誰かが反対意見を言った時には、どう反応すれば良いか、考えるようになり、自分自身がストレスに影響されていることが、わかるようになった。

「瞑想は学校内外で、また人生で行うすべてのことに役立つと感じています。」瞑想後にジェームズは言った。

ジェームズは最初、瞑想は昼寝する良い機会だと思ったが、それがどう作用するか学んで試してみると、驚いた。彼は、このプログラムにまだ参加していない友だちに、瞑想のことを聞かれると、予想以上だと、答えている。

ゲージパーク高校の静寂の時間は、ダニエル・ヘイル・ウィリアムズ高校や、ホウエン高校にも広がった。この瞑想プログラムは選択制だ。その効果を研究するために、新学期にランダムに生徒が選ばれる。他の生徒らは他の一般的な静寂の時間に参加する。ゲージパーク高校では、生徒の半分しか瞑想していなくても、学校全体が1日2回同じ時間に、プログラムを行う。

財団のスタッフは、学期初めに生徒らに、超越瞑想の基礎を教える。心を休ませる言葉、マントラをどのように使うか学ぶのだ。瞑想している間は、音楽やバックグラウンドミュージック、祈り、歌、楽器などの音は使われない。生徒らは心をクリアーにし、ストレスが消えるよう試みる。財団が言うには、瞑想は宗教や哲学ではなく、資格を持ったインストラクターに教えられるものである、ということだ。

財団のチーフ・エグゼクティブ・オフィサーであるボブ・ロスは、超越瞑想は「休息していて機敏な」状態であり、子供をリラックスさせ、読書力を向上させると言う。

「子供の頭の中に、たくさんの事柄、映像を詰め込み続けることはできません。子供へのメッセージは、静けさは大事だ、ということです。静寂の時間の目的は、子供らにシンプルな技術を与えることです。私たちは、ストレスのために今の子供世代をダメにしてしまう危険性の中にいるのです。」とロス氏は言う。

シカゴ大学では、学校内でデータを取り、そのデータをCPSとシカゴ警察局で分析することにより、瞑想プログラムの効果を研究している。成績、テストの点数、出席率、学校内外での犯罪歴などのデータを集めている。

このプログラムは、試験的に2015年秋に始まり来年まで続く。

二人の匿名の支援者と、プリツカー・パッカー・ファミリー財団によって資金が提供された。マッカーサー財団が、評価のための資金を出している。犯罪研究所は、将来のためのファンドレイジングを行っている。

犯罪研究所と財団は、殺人率が高く、特に恵まれない子供たちがいる地域を選んだ。

今後の計画は、このプログラムを広げ、新たに2つか3つのCPS校で研究を行い、シカゴ大学の研究者が、ニューヨークでこのプログラムを研究することだ。アンダーは言う。「どのプログラムが、どのように、どのような子供たちに最も有効か、研究するためです。」

ゲージパーク高校の校長であるブライアン・メトカルフ氏は、静寂の時間が、生徒と職員に素早く効果を生み出したと言う。疑いはなくなり、SATの得点が向上した。教師は、生徒の振る舞いや、教室内での集中力の高まりを感じている。

ゲージパーク高校の教師であるモラレス氏は言う。「教師として私は、どのように私たちが変わってきたかを見ました。どのように教室内の喧嘩がおさまったかを。」

57歳のモラレス氏は、最初は瞑想プログラムを疑っていた。ゲージパークのような学校を変えることはできないと疑っていた。このプログラムで生徒が静かになるなどということを、役人が信じるなんて単純過ぎる、と反対していた。

しかし、ゆっくりとモラレス氏は、生徒と彼自身が変わっていくのを見た。

瞑想は、仕事中も、通勤時も、助けてくれると言う。渋滞に巻き込まれても、他のドライバーに怒ったり、ストレスを感じたり、無理に落ち着こうとしたりしなくなったのだ。

子供らにとっては、ストレスをコントロールし、腹立たしい出来事をやり過ごせるよう毎日の生活を導いてくれるものだと、教師と職員は言う。

「前は、本当に喧嘩っ早くて、怒りっぽかったのですが、瞑想ですごく落ち着き、ストレスがとれました。」ゲージパーク高校2年生のラキハは言う。「瞑想でリラックスして開放的になりました。」

また別の参加者、ブレアナは、最初はこのプログラムのことがよくわからなかったが、やっている間に気づいたと言う。

「最初に聞いた時には、何それ? 何をするの? と思いました。実際にやってみると、心からストレスがなくなりました。何かが起きている、と思いました。」

子供たちだけが参加しているのではない。3階の教室では、モラレスと生物教師のシャメカ・ジョーンズが窓際に座り、目を閉じて穏やかな表情をしていた。

ジョーンズはこれまで、不安と落ち込みに悩まされていたが、学校での静寂の時間を楽しむようになった。

「一番最初に瞑想した時、とてもリラックスしました。」36歳のジョーンズは言う。「今までで一番働く意欲がわいてきました。どんな問題も解決できると感じました。重苦しさやストレスを感じずに、大丈夫、どんな場面でもうまくやれると思いました。それはまるで私の頭の中の雲が晴れて肯定的なエネルギーが入ってきたようでした。」

 
Source:Can in-school meditation help curb youth violence? by Patrick M. O’Connell, Chicago Tribune
  

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