スラムの子供たちを柔道と瞑想で教育──メダリストの柔道家フラビオ・カント

ブラジルの柔道家フラビオ・カントは、これまでに2004年アテネのオリンピックで銅メダル、パンアメリカン大会で3メダルを獲得している。彼は、彼の教え子たちに、柔道にとって最も重要なことを次のように話している。

「柔道の試合を観戦している人たちは、一人がもう一人を投げ飛ばすのを見ているね。でも、柔道で最も重要なことは、立ち上がる、という行為なんだ。倒れるたびに立ち上がることが重要で、何度も何度も立ち上がらなければならない。なぜなら、勝った試合を振り返ってみると、どれだけ多く立ち上がったかによって最後の勝敗が決まるからね。」

人生で地面に叩きつけられても何度でも立ち上がるために、カントは2003年レアソン校を創設した。そこで、リオデジャネイロのスラム街に住む1200人の子供たちと若者を教育している。スポーツと勉強を通して人間性と社会性を養うこの組織(NGO)は、恵まれない子供たちがマットの上と外で「黒帯」を身に付けることができるように支援しているのだ。

疑問と夢

スラムに住む子供たちが、彼らを取り巻く厳しい環境に打ち勝つことは、カントにとって試合で勝つことよりも、ずっと価値あることだった。

「人生で、私たちはいつも何かを成し遂げようとしています。それまで私の人生は、柔道とオリンピックへの夢を追うことだけでした。しかし、レアソン校を創ってからは、達成感という新しい道を見つけたのです。」

ファベーラの子供たちの生き方を変えるためにスポーツを利用する、というアイデアが思い浮かんだのは、2000年に、柔道トレーニング・プロジェクトでボランティアをしている時のことだった。カント自身は特権階級の出身だが、そのときある疑問が生じた。

「そのプロジェクトが始まってから、私はスラムの現実に気づき、大変なショックを受けました。スラムでは、麻薬をめぐる抗争で何世代もの命が奪われていることを知ったからです。私たちのアカデミーに近いところで、少年たちは普通に拳銃を持っていました。そんな子供たちに、スポーツと勉強(読み書き)を教えるということが、本当に価値あることか確信がもてなくなったのです。」とフラビオ・カントは言う。

ある日、麻薬ギャングに惨殺された教え子の葬儀に参列したとき、ある生徒が、亡くなった友だちの棺の上に、レアソン校のシャツを置くのを見た。

「この行為から、私たちの仕事が子供たちの人生にとって重要で意味のあることだと分かりました。その日から私は、スポーツに価値があるかどうか、私たちの社会化教育プロジェクトが本当に有益なのか、という疑問を持つのをやめたのです。」

一緒に作ろう

レアソン校に所属するすべての子供たちは、一年を通じて週6日、柔道と普通の授業の両方に出席しなければならない。この学校は、柔道を通して、鍛錬、謙虚さ、勇気、決断力を学ぶことに重きを置いている。

この学校は、カントの友人たちと家族の資金援助によって設立され、リオインシダードデデウス、ペクエナクルザーダ、ロシンハ、トゥビアカンガという四つの地域のファヴェーラで広まっている。

カントは教え子たちを激励し、教え子たちは、彼に続く良いアスリートになる勇気をもらっていた。そして、カントは2004年にアテネのオリンピックで銅メダルを取ってからは、もはや個人的な勝利を追い求めることはなくなった。

「私たちはアテネのオリンピックでメダルを取ったのです。子供たちは私と共にいてくれました。もし子供たちがいなかったら、メダルは取れなかったでしょう。」と彼は言う。

カントにとって、教え子が柔道と学問で成功するのを見ること以上に嬉しいことはない。

「子供たちは本当に忍耐強い。彼らは毎日こう言われています。『お前たちは這い上がれない。ファヴェーラに生まれたら、ファヴェーラで死ぬんだ』。そのような考えを、私たちは打ち破ろうとしています。」

「今や、大学卒業生や国内チャンピオンもいます。彼らはもはや誰もが言う運命に従う必要はありません。彼らにはそれを変えることができるのです。彼らが真のヒーローです。」

教師から生徒へ

2016年に夏のリオで開催されたオリンピックで、柔道の世界チャンピオンになった初めてのブラジル人であるラファエラ・シルヴァは、8歳の時からレアソン校のクラスに出席していた。彼女の両親が、通りで喧嘩に巻き込まれないようにと、彼女をこの学校に入れていたのだ。

「子供たちにとって、ラファエラは大変重要な勝利をおさめました。子供たちは彼女をお手本として見ています。」と、レアソン校に資金を出しているミケーレ・クンハは言う。

ラファエラのリオでの勝利は、倒れるたびに立ち上がるという考え方を実行したものだった。2012年の夏のロンドンオリンピックの準決勝で、違反し失格となったあと、彼女はメディアで人種差別的な攻撃を受けた。柔道をやめたくなったが、それでも彼女はあきらめなかった。

メダルを獲得した後、ラファエラはレアソン校について繰り返し語っていた。

「柔道が私の人生を変えました。私には夢も目標もなく、欲しかったのは清潔な洋服だけでした。柔道とレアソン校がすべてを変えてくれたのです。この週末にオリンピック村を離れます。シダーデデウスに戻りたいです。そこで私は歓迎され、子供たちがスポーツをするか、大学に入れるよう激励したいと思います。」

瞑想の力

こうした成功を得ながら、カントは休むことなく、リオのスラムでもがいている子供たちを救う方法を探し続けている。

「子供たちには高い目標を持つ権利があります。私たちは、そこにたどり着けるようにする方法を彼らに与えようとしているのです。」

その方法の一つが、ここ数年採用している超越瞑想の実習だ。これは良く研究された瞑想テクニックで、子供たちをストレスから解放し、教室の内外で、畳の上と外の両方で、うまく行動できるように心にバランスをもたらしている。

「私の夢がかないました。なぜなら、私はTM(超越瞑想)をずっと以前に始めていたからです。1995年だったと思います。それ以来、物事がうまく進むようになり、大きな成果を得ました。オリンピックでメダルを取りましたし、私は集中力のあるアスリートとして知られるようになりました。

私はTMによって多くを得ました。しかしそれはスポーツ以上のものだと思います。TMは、私をより良いアスリートにしてくれましたが、より良い人間にもしてくれたからです。今でもTMは、私の人間性を成長させてくれています。」

カントは、子供たちの人生を変えるレアソン校での教育に、瞑想の実習が含まれていることを熱心に説明する。

「私は瞑想の力を知っています。何年もの間それを経験してきたからです。子供たちには瞑想がとても必要です。柔道のためだけではなく、より良い人生を送るために必要なのです。」と、カントは付け加えた。

生徒たちもまた、超越瞑想が短期的にも長期的にも有益であるということを経験している。この学校に通う少女はこう語っている。「TMでリラックスすると、まるで雲の間を飛んでいけるような軽さを感じます。勉強にも集中できるようになり、人生をより深く理解して、将来何をしたらよいか、考えるようになりました。」

人生における黒帯

人生の黒帯を得るという、こうした学校での成功について、カントは次のように話している。

「今、レアソン校ではすべての子供たちが、学校の一員であるという一体感を感じています。私たちが成し遂げたことを大変誇りに思います。人生における黒帯を得ることを助けたい、と私は言いました。それは、社会で必要とされる人になり、より良い市民になる、ということです。

しかし私たちのしたことで最も重要なのは、私たちが彼らの周りにいて、より良く生きるための方法を示したことです。それによって、スラムに住む若者たちに起こり得る何百もの悲劇を避けることができたと確信しています。」


 
Source:
“Olympian transforms poor children’s lives through judo,” CNN
“Brazil’s Olympic golden girl Rafaela Silva brings hope to a lost generation,” The Daily Mail
“Inside Instituto Reação, Flávio Canto’s social project in Rio de Janeiro,” Fightland

  

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